日本では、毎年多くの地震が発生しています。しかし、地震はなぜ起こるのか、震度とマグニチュードはどう違うのか、よく分からない方もいるのではないでしょうか。
地震の被害は、揺れの強さだけでなく、地盤や建物の状態によっても変わります。仕組みを知ることは、自宅の危険を見直し、適切な対策を考える手がかりになります。
この記事では、地震が発生する仕組みと種類、日本で多い理由、主な被害を解説します。さらに、家庭でできる備えと、揺れを感じたときの行動を紹介します。
この記事で分かること
- 地震が発生する仕組みと主な種類
- 日本で地震が多い理由
- 震度とマグニチュードの違い、主な被害
- 家庭での備えと発生時の身の守り方
地震はなぜ起こる?仕組みと種類
地震が発生する仕組み
地震は、地下の岩盤が急激にずれることで発生します。その原因を理解する鍵となるのが「プレート」の動きです。
地球の表面は、プレートと呼ばれる十数枚の巨大な岩盤で覆われています。プレートは年間数cm程度の速さで少しずつ移動し、互いに押し合ったり、すれ違ったり、一方が他方の下に沈み込んだりしています。
こうした動きで地下の岩盤に力が加わると、岩盤が変形して「ひずみ」が蓄積します。ひずみとは、力を受けて物体の形が変わることです。岩盤が力に耐えられなくなると、断層という面に沿って急激にずれ、そのエネルギーの一部が地震波として周囲に伝わります。地震波が地表に届くと、地面が揺れます。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 震源 | 地下で岩盤のずれが始まった場所 |
| 震央 | 震源の真上にある地表の地点 |
| 断層 | 岩盤がずれた面 |
| 震源域 | 地震で岩盤がずれ動いた範囲 |
| 地震波 | 地震の揺れを伝える波 |
地震はプレート同士の境界だけでなく、プレートの内部でも発生します。地下にどのような力がかかり、どこがずれるかによって、地震の特徴が変わります。
(出典:気象庁「地震発生のしくみ」)
地震の主な種類と特徴
日本周辺の地震は、発生する場所と仕組みに着目すると、主に次のように整理できます。
| 分類 | 発生する場所と特徴 |
|---|---|
| プレート境界の地震 | 海側と陸側のプレートの境界がずれて発生する。広い範囲がずれると巨大な地震になることがある |
| 陸域の浅い地震 | 陸側のプレートの浅い部分などで岩盤がずれて発生する。市街地に近い場合は被害が大きくなることがある |
| 沈み込むプレート内部の地震 | 陸側のプレートの下へ沈み込んだ海側のプレート内部で発生する |
プレート境界の地震は、海側のプレートが沈み込む際に、陸側のプレートを引きずり込むことでひずみが蓄積し、境界がずれて発生します。2011年の東北地方太平洋沖地震は、この種類です。
陸域の浅い地震には、活断層の活動で起こるものがあります。活断層とは、過去に繰り返し活動し、今後も活動する可能性がある断層です。1995年の兵庫県南部地震や2016年の熊本地震が代表例です。地震の規模が比較的小さくても、震源が浅く、人が暮らす場所に近いと強い揺れが発生します。
なお、「海溝型地震」という言葉は、プレート境界の地震だけでなく、沈み込むプレート内部の地震も含めて使われる場合があります。分類の仕方によって呼び方が異なるため、発生場所と仕組みを分けて理解しましょう。

(出典:気象庁「地震発生のしくみ」、地震調査研究推進本部「海溝型地震」)
日本で地震が多い理由
日本で地震が多いのは、複数のプレートが集まり、互いに力を及ぼし合う場所に日本列島があるためです。
日本周辺では、太平洋プレートとフィリピン海プレートが、陸側のプレートの下に沈み込んでいます。プレートの境界には大きな力がかかり、内陸の岩盤にも力が伝わります。そのため、海側の地域から内陸まで、さまざまな場所で地震が発生します。
過去に大きな地震を経験していない地域でも、今後強い揺れが起こらないとは限りません。地域の揺れやすさを調べる際は、防災科学技術研究所のJ-SHIS 地震ハザードステーションや自治体の防災資料が参考になります。ただし、予測地図は将来の揺れを確定するものではありません。
(出典:気象庁「地震発生のしくみ」、地震調査研究推進本部「地震動予測地図」)
地震の揺れと被害を理解する
震度とマグニチュードの違い
地震のニュースで聞く「震度」と「マグニチュード」は、表しているものが異なります。震度は各地点の揺れの強さ、マグニチュードは地震そのものの規模を表す数値です。
| 項目 | 震度 | マグニチュード |
|---|---|---|
| 表すもの | 観測地点の揺れの強さ | 地震の規模 |
| 数値の特徴 | 0~7の10階級 | 数値が大きいほど規模が大きい |
| 同じ地震での違い | 地点ごとに異なる | 基本的に一つの規模を示す |
日本の震度は、0、1、2、3、4、5弱、5強、6弱、6強、7の10階級です。震度5弱では固定していない家具が移動し、不安定な家具が倒れることがあります。震度6弱では立っていることが困難になり、震度6強では、はわないと移動できないほどの揺れになることがあります。震度7が最上位の階級で、震度8や9はありません。
一方、マグニチュードが1大きくなると、地震波として放出されるエネルギーは約32倍、2大きくなると約1,000倍になります。ただし、規模が大きければどの場所でも強く揺れるわけではありません。震源からの距離、震源の深さ、地盤の性質などが観測される震度に影響します。

(出典:気象庁「震度について」、気象庁「震度・マグニチュード・地震情報について」、気象庁「震度階級関連解説表」)
地盤や建物で変わる揺れ方
同じ地震でも、地盤の性質や建物の構造によって揺れ方は変わります。一般に、軟らかい地盤では硬い地盤より地震の揺れが大きくなることがあります。
例えば、河川沿いの低地や埋立地などでは、地下の地層によって揺れが増幅する場合があります。ただし、土地の見た目だけで揺れやすさを判断することはできません。
高層建物では「長周期地震動」にも注意が必要です。これは、揺れが1往復するまでの時間が長い、ゆっくりとした大きな揺れです。建物が揺れやすい周期と一致すると、共振によって高層階で大きく長時間揺れることがあります。家具が大きく移動する危険もあります。
さらに、建物の耐震性によって損傷の程度は異なります。耐震性とは、地震の揺れに対して建物が倒壊などに耐える性能です。建築時期だけでなく、構造や劣化の状態も関係するため、建物の安全性は震度だけでは判断できません。
(出典:気象庁「推計震度分布図について」、気象庁「長周期地震動とは?」)
地震によって起こる主な被害
地震は、建物や家具を揺らすだけでなく、火災や地盤の変化、生活に必要な設備の停止など、幅広い被害をもたらします。
| 被害 | 起こり得ること |
|---|---|
| 建物の損壊・倒壊 | 柱や壁が損傷し、建物が傾いたり倒れたりする |
| 家具の転倒・落下 | 本棚や家電が倒れ、けがや避難経路の閉塞につながる |
| 地震火災 | 電気機器の損傷や停電後の通電などで出火する |
| 液状化 | 地盤が一時的に液体状になり、建物が沈下・傾斜する |
| 土砂災害 | がけ崩れ、地すべり、落石が起こる |
| ライフラインの停止 | 電気、水道、ガス、通信などが使えなくなる |
特に注意したいのが、家具の転倒と地震火災です。建物が倒壊しなくても、室内の重い家具が倒れてけがをしたり、出入口をふさいだりすることがあります。
地震火災は、揺れている最中だけに起こるとは限りません。傷んだ電気配線や電気機器などが原因となり、停電から復旧した後に火災が発生する場合もあります。
また、「液状化現象」は、地下水位が高く緩い砂地盤などで発生しやすい現象です。強い揺れによって地盤が一時的に液体のようになり、水や砂が噴き出したり、建物が沈んだりすることがあります。急な斜面では、がけ崩れなどが起きる危険もあります。
揺れが収まった後も、建物や地面の損傷、火災の有無を確認し、危険な場所に近づかないことが必要です。
(出典:気象庁「震度階級関連解説表」、地震調査研究推進本部「液状化現象」、総務省消防庁「感震ブレーカー」)
地震への備えと発生時の行動
家庭でできる地震対策
家庭での地震対策は、建物の安全性を確かめ、室内でけがをしない環境を整え、生活に必要な物を備えることから始められます。
まず住宅の耐震性を確認しましょう。1981年5月以前に建築確認を受けた旧耐震基準の住宅では、特に耐震診断を検討してください。新しい時期の住宅でも、構造や劣化などによって性能は異なります。耐震性が不足する場合は、専門家と耐震改修を検討します。
次に、家具や家電の転倒・落下・移動を防ぎます。
| 対象 | 主な対策 |
|---|---|
| タンス・本棚 | L型金具などで壁の適切な下地に固定する |
| 食器棚 | 扉の開放防止器具やガラス飛散防止フィルムを使う |
| 冷蔵庫 | 専用ベルトなどで転倒・移動を防ぐ |
| テレビ | 専用の固定器具や転倒防止ベルトを使う |
| キャスター付き家具 | 移動時以外はキャスターをロックする |
| 寝室・廊下 | 就寝場所への転倒や、出入口の閉塞を防ぐ配置にする |
固定器具は家具や壁の材質に適したものを選び、壁の下地など十分な強度がある部分に取り付けます。固定だけに頼らず、寝室や避難経路に背の高い家具を置かない工夫も有効です。
食料は最低3日分、できれば1週間分程度を目安に備蓄します。水は飲用と調理用を合わせて1人1日約3Lが目安で、4人家族の3日分なら36Lです。携帯トイレ、懐中電灯、モバイルバッテリー、常備薬なども確認しましょう。必要な量は家族構成や地域の事情によって変わります。
電気火災への対策には、設定以上の揺れを感知して電気を遮断する「感震ブレーカー」もあります。ただし、電気が止まると照明や在宅用医療機器にも影響するため、非常用電源や照明も併せて検討してください。
家族の連絡方法や集合場所を話し合い、自治体が示す避難場所や地域の危険箇所も確認しておくと、発生後の判断に役立ちます。

(出典:国土交通省「住まいの耐震化」、東京都「自宅での家具類の転倒・落下・移動防止対策」、農林水産省「災害時のために、備えていますか?」、総務省消防庁「感震ブレーカー」)
地震が起きたときの身の守り方
強い揺れを感じたときや緊急地震速報を見聞きしたときは、周囲の状況に応じて、まず自分の身を守ります。慌てて移動すると、転倒や落下物によるけがにつながるおそれがあります。
自宅などの屋内では、頭を保護し、丈夫な机の下など安全な場所に身を寄せます。机がない場合も、倒れてくる家具や割れるガラスから離れ、姿勢を低くして頭を守ってください。慌てて屋外に飛び出さず、揺れている間は無理に火を消しに行かないことが基本です。
場所ごとの対応も確認しておきましょう。
| 場所 | 基本的な行動 |
|---|---|
| 屋外の市街地 | ブロック塀、看板、窓ガラスなどの倒壊・落下に注意する |
| 商業施設 | 係員の指示に従い、出口に殺到しない |
| エレベーター | 最寄りの階で停止させ、速やかに降りる |
| 自動車の運転中 | ハザードランプで周囲に知らせ、急ブレーキを避けて減速する。大きな揺れを感じたら、安全に配慮して道路の左側に停止する |
| 山やがけの近く | 落石や斜面の崩壊に注意して離れる |
車を停止した後は、ラジオなどで交通情報を確認します。道路の損傷や信号機の停止にも注意してください。
揺れが収まったら、自分や家族のけが、建物の損傷、火災などの危険を確認します。安全にできる場合は出口を確保し、建物に大きな損傷がある場合などは安全な経路で避難します。反対に、建物の安全が確認でき、周囲にも危険がないなら、直ちに屋外へ出る必要はありません。
緊急地震速報を見聞きしてから強い揺れが到達するまでは、数秒から数十秒しかないことがあります。震源に近い場所では間に合わない場合もあるため、日頃から室内の安全な場所を確かめておきましょう。
(出典:気象庁「緊急地震速報を見聞きしたときは」、警察庁「大地震が発生したときに運転者がとるべき措置」)
まとめ|地震の基礎と備え
地震の特徴を知り、自宅や地域の状況に合った備えを進めることが、被害を減らす第一歩です。
- 地震は、地下の岩盤が急激にずれることで発生する
- 日本では複数のプレートが影響し合い、各地で地震が起こる
- 震度は各地点の揺れの強さ、マグニチュードは地震の規模を表す
- 揺れ方や被害は地盤の性質、建物の構造や耐震性によって変わる
- 建物の倒壊、家具の転倒、火災、液状化、ライフラインの停止に備える
- 家庭では耐震性の確認、家具固定、食料や水の備蓄を進める
- 揺れたらまず頭を守り、状況に応じて安全な場所で行動する
まずは寝室の家具の配置や固定状況を確認し、家族で身の守り方を話し合うことから始めましょう。


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