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    防災庁は何をする?新設の背景と災害時の役割、事前防災を解説

    2026年11月2日、国の防災体制を強化するため、防災庁が発足しました。しかし、「どのような仕事をするのか」「これまでの防災行政と何が違うのか」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

    防災庁は、災害が起きた後の対応だけでなく、被害を減らすための事前防災にも取り組む組織です。この記事では、設置された理由や役割、発足時に出された緊急要請を解説します。家庭で必要な備蓄や身近な防災対策も確認しましょう。

    この記事で分かること

    • 防災庁が発足した時期と設置された理由
    • 従来の内閣府防災担当との違い
    • 事前防災から復旧・復興までの主な役割
    • 緊急要請の内容と家庭で実践できる備え
    目次

    防災庁とは?設置された理由と仕組み

    防災庁は、国全体の防災政策を進める行政機関です。最初に、設置までの経緯と従来の制度から変わった点を整理します。

    防災庁はいつ設置されたのか

    防災庁は、2026年(令和8年)11月2日に発足しました。内閣府の防災担当部門を改組し、内閣に置かれた行政機関です。防災庁の長は内閣総理大臣で、防災政策を担当する防災大臣が置かれています。初代防災大臣には細野豪志氏が就任しました。

    設置までの主な経緯は、次のとおりです。

    年月主な出来事
    2024年11月内閣官房に防災庁設置準備室を設置
    2025年12月防災立国の推進に向けた基本方針を閣議決定
    2026年7月防災庁設置法が成立し、公布
    2026年11月2日防災庁が発足

    防災庁は、災害の予防から発生時の対応、復旧・復興まで、切れ目なく防災政策を進めるために設置されました。防災庁設置法は2026年7月17日に公布され、11月2日の発足に合わせて施行されています。

    (出典:防災庁『防災庁が発足しました』、防災庁『関係法令等』)

    防災庁が設置された理由

    防災庁が必要とされた背景には、大規模災害による被害を減らし、国全体で対応する体制を強くするという課題があります。

    日本では地震、大雨、台風、火山噴火などの自然災害が発生します。特に南海トラフ地震や首都直下地震などでは、広い地域で同時に深刻な被害が生じることが想定されています。道路や鉄道、電気、水道、通信などのライフライン(生活を支える設備やサービス)が止まると、救助活動にも日常生活にも大きな影響が及びます。

    災害対応には、道路の復旧を担う機関、救助を担う機関、医療や避難生活を支援する機関など、多くの組織が関わります。複数の自治体が同時に被災すれば、被災地だけで十分な人員や物資を確保できないおそれもあります。

    そこで、関係省庁の対策を国全体で調整し、地域を越えた支援を進める体制を強化する必要がありました。また、災害後の対応だけに頼らず、被害を事前に減らすことも重要です。

    防災庁は、こうした課題に対応するため、従来の防災行政を発展させた組織として設置されました。

    (出典:防災庁『令和8年版 防災白書|防災庁の設置に向けた検討』)

    従来の防災行政との違い

    防災庁の設置による主な変化は、組織の位置付けと、各省庁の取組を進めるための権限が強化されたことです。

    従来も、内閣府の防災担当部門は防災政策の企画立案や関係省庁との総合調整を行っていました。つまり、国の災害対応を調整する仕事が防災庁の発足によって初めて生まれたわけではありません。

    主な違いは、次のとおりです。

    比較項目従来の内閣府防災担当防災庁
    組織の位置付け内閣府の内部部局内閣に置かれる行政機関
    基本的な役割防災政策の企画立案と総合調整従来の役割を継承し、推進体制を強化
    各省庁との調整関係機関との連携・調整防災大臣の勧告権などを活用
    事前防災関係機関と連携して推進各機関の取組をさらに推進・加速

    特に重要なのが、防災大臣に与えられた「勧告権」です。防災大臣は、必要に応じて各省大臣などに対応を求める勧告ができ、勧告を受けた側には尊重する義務があります。また、勧告に基づいて講じた措置について報告を求めることもできます。

    ただし、防災庁がすべての災害対策を直接実施するわけではありません。消防、警察、自衛隊、国土交通省、自治体などは、それぞれの法律や役割に基づいて活動します。防災庁は関係機関をつなぎ、防災政策を政府全体として進める役割を担います。

    (出典:防災庁『内閣府防災担当の組織』、防災庁『関係法令等』)

    防災庁は何をする?主な役割

    防災庁の仕事は、災害発生前の備え、発生時の対応、被災後の復旧・復興の3つの段階にまたがります。

    災害前の事前防災を強化する

    防災庁が重視する「事前防災」とは、災害が起きる前から対策を進め、被害の発生や拡大を防ぐことです。例えば、建物の耐震化や避難体制の整備、防災訓練などが該当します。

    国や自治体が事前に対策することで、災害時の人的被害や生活への影響を減らすことが期待できます。防災庁は、次のような取組を関係機関と連携して進めます。

    取組具体的な内容
    災害リスクの評価地震や水害などで想定される被害を把握する
    防災計画の充実被害想定に応じた対策や支援の仕組みを整える
    避難生活環境の改善避難所のトイレ、食事、寝具などの改善を促す
    人材育成と訓練自治体職員などの対応力を高める
    防災教育と技術活用防災知識の普及やデジタル技術の活用を進める

    例えば、住宅の耐震化は建物の所有者や自治体などが取り組み、道路や河川の整備は所管する行政機関が進めます。防災庁はそれらを直接すべて実施するのではなく、国全体の方針づくりや省庁間の調整などを通じて後押しします。

    また、地域ごとに災害の危険性は異なります。地震への備えが特に必要な地域もあれば、洪水や土砂災害への対策が欠かせない地域もあります。防災庁には、こうした違いを踏まえ、地方自治体の防災力を高める取組を支える役割があります。

    (出典:防災庁『令和8年版 防災白書|防災庁の設置・運営』)

    災害発生時の司令塔を担う

    大規模災害が発生した際、防災庁は政府全体の災害対応を調整する「司令塔」としての役割を担います。司令塔とは、各機関が持つ情報を集め、支援が必要な地域や対応すべき課題を把握し、連携を進める立場のことです。

    例えば、広い地域で被害が発生すると、救助活動、道路の通行確保、医療支援、物資輸送などが同時に必要になります。地域によって被害の大きさや不足する物資が異なるため、全体の状況を把握して対応することが欠かせません。

    防災庁は、政府の災害対策本部の運営や被害情報の把握、関係省庁との調整、被災自治体への支援などに関わります。被災自治体が国に相談しやすいよう、窓口機能を充実させることも目指しています。

    ただし、個々の救助活動を防災庁が一括して指揮するわけではありません。消防や警察、自衛隊などは、それぞれの権限と専門性に基づいて活動します。また、住民への避難情報の発令など、自治体が担う役割もあります。

    防災庁に求められるのは、各機関の仕事の重複や対応の抜けを減らし、必要な支援が円滑に進むようにすることです。

    (出典:防災庁『防災庁ミッション・基本理念・行動原則』、防災庁『令和8年版 防災白書|防災庁の設置・運営』)

    復旧・復興まで連携を支える

    災害対応は、人命救助が一段落すれば終わるものではありません。被災した人が生活を立て直すまでには、住まい、仕事、医療、教育など多くの支援が必要です。

    「復旧」は、壊れた道路や水道などの機能を回復させ、生活を元の状態に近づけることです。一方の「復興」は、被災した地域の暮らしや経済を再建し、将来の災害にも強い地域をつくることを含みます。

    例えば、被災者の住まいを確保するには、自治体による相談や住宅支援、関係省庁の制度運用などが必要です。道路や公共施設の復旧、事業の再開に向けても、複数の機関が連携しなければなりません。

    防災庁は、こうした支援の全体的な調整や、復旧・復興に関する基本的な政策を担当します。国や自治体だけでなく、企業やNPOなどとの連携も重視しています。

    さらに、災害が起こる前から復興に向けた準備を進めることも大切です。例えば、応急仮設住宅の建設候補地を事前に選んでおけば、被災後の対応を進めやすくなります。災害の教訓を次の備えに生かすことも、防災庁が目指す取組の一つです。

    (出典:防災庁『防災庁ミッション・基本理念・行動原則』)

    防災庁の発足と私たちの防災

    防災庁の発足によって国の体制が強化されても、規模の大きい災害では行政の支援がすぐには届かない場合があります。そこで重要になるのが、家庭や地域での備えです。

    発足時に出された緊急要請とは

    2026年11月2日、細野豪志防災大臣は「事前防災徹底のための緊急要請」を発表しました。国民、地方公共団体、各府省庁に対し、平常時から防災対策を徹底するよう求めたものです。

    国民向けのメッセージでは、「自らの命は自らが守る」という考え方が示されました。国難級の災害とは、国の社会活動や暮らしに非常に大きな影響を及ぼす規模の災害を指す表現です。そのような災害では、行政の人員や物資が不足するおそれがあります。

    緊急要請で国民に呼びかけられた主な行動は、次の5つです。

    取組具体的な行動
    住宅の安全対策耐震診断・耐震化、家具や家電の固定
    備蓄水・食料、携帯用トイレ、生活用品の準備
    避難の確認ハザードマップ、避難場所・避難経路の確認
    非常持ち出し品すぐに必要な物をリュックなどにまとめる
    防災訓練地域の訓練に参加し、避難や安否確認を体験する

    自治体には避難生活環境の改善や防災人材の育成など、各府省庁には業務継続計画の見直しや所管分野の対策推進なども求めています。業務継続計画とは、災害時にも優先すべき仕事を続けるための計画です。

    なお、この緊急要請は特定の災害の発生を予告するものではなく、将来の大規模災害に備えるための呼びかけです。

    (出典:防災庁『事前防災徹底のための緊急要請』)

    家庭で必要な備蓄と防災対策

    防災庁の緊急要請では、家庭での備えとして水・食料の備蓄、住宅の安全対策、避難の準備などが挙げられています。まずは、自宅の状況と家族の人数に合わせて必要な物を確認しましょう。

    水・食料は最低3日分、できれば1週間分

    防災庁は、最低3日分、できれば1週間分の水や食料を備蓄するよう呼びかけています。飲料水は調理に使う分を含め、1人1日3リットルが目安です。

    日数1人分の水4人家族の水
    3日分9L36L
    7日分21L84L

    これは飲用と調理用の量です。トイレなどに使う生活用水は別に考えます。食料は、普段食べている米、缶詰、レトルト食品などを取り入れ、家族の人数と日数に合わせて用意してください。

    日常的に使う食品を少し多めに買い、古い物から使って補充する方法を「ローリングストック」といいます。食べ慣れた食品を無理なく備蓄できる方法です。乳幼児や持病がある人など、特別な食品や用品が必要な家族については、個別に備えを追加しましょう。

    携帯用トイレと生活用品も準備する

    断水や排水設備の損傷で、水洗トイレが使えなくなる場合があります。携帯用トイレは、便器に袋を取り付けるなどして排泄物を受け止める災害用品です。

    経済産業省は、災害用トイレの備蓄を1人1日5回、1週間で35回分とする目安を示しています。4人家族なら140回分です。使用回数には個人差があるため、必要に応じて多めに準備しましょう。

    あわせて、トイレットペーパー、ティッシュ、ウェットティッシュ、常備薬、生理用品なども確認します。排水設備が損傷しているおそれがある場合は、使用できると確認されるまで水洗トイレに水を流さず、自治体や建物管理者の案内に従ってください。

    (出典:防災庁『トイレ備蓄忘れていませんか?』)

    家具の固定と避難の確認を行う

    水や食料を備えていても、地震で家具が倒れてけがをしては、備えを十分に生かせません。タンスや本棚、冷蔵庫などは、適切な固定器具を使い、壁や床などの強度を確認して固定しましょう。寝室や出入り口を塞がない配置も大切です。

    また、自宅や職場周辺のハザードマップを確認し、洪水や土砂災害、津波など、地域で想定される危険を把握してください。安全な避難先は災害の種類や場所によって異なります。避難場所と経路を確認し、家族と連絡方法を話し合っておきましょう。

    避難時に必要な物は非常持ち出し品としてまとめ、すぐ手に取れる場所に置きます。地域の防災訓練に参加すれば、避難や安否確認を実際に確かめられます。

    (出典:防災庁『事前防災徹底のための緊急要請』)

    まとめ|防災庁の役割と私たちの備え

    防災庁は、災害が起きた後の対応だけでなく、発生前の対策を進めるために設置された行政機関です。この記事の要点を整理します。

    • 防災庁は2026年11月2日に発足した
    • 従来の内閣府防災担当の機能を引き継ぎ、組織と調整権限を強化した
    • 事前防災から災害対応、復旧・復興まで政府全体の連携を支える
    • 発足時には、国民や自治体などに事前防災の徹底を呼びかけた
    • 家庭では水・食料を最低3日分、できれば1週間分備える
    • 携帯用トイレや家具の固定、避難先の確認も欠かせない

    防災庁の設置によって行政の体制が強化されても、大規模災害では支援が届くまで時間がかかる場合があります。自宅の危険や不足している備蓄を確認し、できる対策から進めておきましょう。

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